まめ知識

食欲の秋!体に必要不可欠な『Na』の謎

食欲の秋にちなんで調味料の基本である食塩を構成する元素「ナトリウム」について紹介します。
 原子番号11のナトリウム(Na)は人体に必要なミネラルの一種で、地球上に存在する元素の中で6番目に多く存在します。胆汁や膵液(すいえき)、腸液などの材料となっていて、体内の浸透圧や酸性・アルカリ性のバランスを調整する役割を担っています。
 日本人はナトリウムの多くを食塩(塩化ナトリウム〈NaCl〉)から摂取しているため、ナトリウム摂取量は一般的には食塩の摂取量としています。
 塩化ナトリウムは、体内で塩化物イオンとナトリウムイオンの状態に分かれ、それぞれが人体にとって重要な役割を果たしています。胃酸のもとになる塩化物イオンは食べ物の消化や殺菌に関わり、ナトリウムイオンは小腸で栄養素を吸収するために必要です。この両者の働きによって、食べ物の消化・吸収が円滑に行われます。ナトリウムイオンは、細胞の外側にある水分「細胞外液」にも多く含まれていて、細胞の内側と外側の水分バランスを一定に保つ働きをします。さらに、温かいものや冷たいものを触ったときなどの刺激を脳に伝えたり、手足などを動かす際に脳から筋肉に指令を出す神経細胞を働かせる機能もあります。
 また、塩化ナトリウムは骨にも蓄えられており、体内で不足すると、その一部が供給源になってナトリウムバランスの維持に寄与することがあります。人間は汗をかくことで老廃物の排出や、体温の調節をしていますが、汗を「しょっぱい」と感じるのも、汗の中に塩化ナトリウムが含まれているからです。
 このように塩化ナトリウムは、命を維持するために欠かせない栄養素です。
 厚生労働省が示した「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の発症予防を目的としたナトリウム(食塩相当量)の目標量は、18歳以上の男性で7.5g/日未満、女性で6.5g/日未満と設定されています。一方、2024年10月〜11月に実施された「国民健康・栄養調査」の結果によると、20歳以上の食塩摂取量の平均値は男性10.5g/日、女性8.9g/日と、いずれも目標量を上回っています。

ナトリウムイラスト


また、日本高血圧学会からは、日本人成人の主な食塩摂取源の約半分を醤油、味噌、食塩などの調味料から摂っているというデータが報告されています。
 食塩の摂り過ぎは、高血圧や循環器疾患のリスクを高めるほか、胃がんのリスクを高めることも報告されています。食塩は人体に必要な栄養素ですが、健康のためには摂取量を控えめにすることが望ましいでしょう。
 日本高血圧学会では、「減塩タイプの調味料を使う」「酸味や香辛料を活用する」など、食塩摂取量を減らす工夫をホームページで紹介しています。将来の高血圧や脳卒中、心疾患などのリスクを軽減するためにも、子どものころから減塩を意識した食習慣を身につけることが大切です。