まめ知識

洗剤を使っているのに汚れが落ちきらない

油汚れに『熱いお湯』は逆効果!?

 皿などの食器についたひどい油汚れ。スポンジにお湯と食器用洗剤を含ませて洗いますが、このときのお湯、熱湯にしていませんか?
 熱湯を使うと油がよく溶けて、汚れも落ちやすくなると考えがちですが、多くの食器用洗剤に配合されている非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)には温度の影響を受けやすい特徴があります。非イオン界面活性剤とは界面活性剤のひとつで、人体に対する毒性が低いことやほかのイオン性界面活性剤との相性がよいことなどから、さまざまな分野で使用されています。
 非イオン界面活性剤は、温度が上がりすぎると白く濁って水に溶けにくくなります。この現象が発生する温度を「曇点」と呼び、温度が下がると再びもとの透明な状態に戻ります。曇点とは、水溶液の温度を上昇させた時に水溶液の分離や洗浄力の低下が起こる温度です。それは、非イオン界面活性剤の親水基として広く使われているポリオキシエチレン基などの水和(水の分子がまわりの分子とくっつく現象)する力が弱まるためです。
 では、食器洗いの際には、何℃くらいのお湯を使用すればよいのでしょうか。
 非イオン界面活性剤が配合された食器用洗剤を使用する場合、一般的に30℃から50℃程度のぬるま湯が洗浄効果と使いやすさのバランスに優れています。肉の脂が溶ける温度(融点)は、鶏肉が約30〜32℃、豚肉が約33〜46℃、牛肉が約40〜50℃(高級和牛は約20℃)、羊肉が約44〜55℃など、肉の種類や銘柄によっても異なりますが、30℃から50℃くらいのぬるま湯を使えば、非イオン界面活性剤の乳化作用(水と油を混ぜ合わせる力)が働いて、頑固な油汚れをスルッときれいに落とすことができます。

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 また、非イオン界面活性剤にとっての適温である30℃から50℃は、手肌にとっても最適な温度です。50℃を超えたお湯で食器洗いをすると、手の皮脂までが過剰に洗い流されてしまい、主婦湿疹など手荒れの原因のひとつになるからです。
 非イオン界面活性剤は、洗濯用洗剤や掃除用洗剤にも配合されています。食器洗いだけではなく、洗濯や掃除の際にも適温を意識することで汚れを効率的に落とすことができ、手肌にやさしく、しかもガスや電気などのエネルギー節約にもつながります。
 ここまで食器などを手洗いする場合について説明しましたが、食洗機使用の場合は適温が異なります。食洗機用洗剤にも泡立ちを抑える目的で非イオン界面活性剤が配合されていますが、食洗機は強い水流(高水圧)と高温のお湯による油の溶解を優先し、汚れを落とす仕組みになっています。60〜70℃の高温で洗浄するように設計されていますので、その機器の設定温度に任せましょう。