まめ知識

意外と知らないナフサの正体

 ニュースでナフサ不足が話題になりましたが、ホルムズ海峡の事実上の封鎖により、中東からの輸入に頼っていた原油の供給量が減ってしまったことが原因でした。

ところでこの「ナフサ」、どのようなものなのか知っていますか?

 ナフサとは、原油から作られる石油製品のひとつで、透明な液体です。原油は石油精製工場に運ばれて加熱され、沸点(沸騰し始める温度)の違いによってさまざまな石油製品に分けられます。沸点が低い(比重が軽い)順にLPガス(液化石油ガス)、ナフサ(粗製ガソリン)、灯油・ジェット燃料、軽油、重油・アスファルトに分けられていきます。

石油製品の分類

沸点は分子の大きさや形、分子どうしが引き合う強さの違いによって異なり、分子が大きいほど高くなります。
 ナフサは、原油から作られる石油製品の10%くらいを占めています。ナフサ以外のほとんどの石油製品は燃料として使われますが、ナフサは主に石油化学製品の原料として使われます。
 ナフサは、ナフサ分解工場に運ばれて、分解炉の中で化学反応(熱分解反応)をおこし、分子が分解されて、さらに小さな分子になります。分解されてできた成分は、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの物質に分かれます。これらは石油化学製品をつくるために重要なもので、石油化学基礎製品と呼ばれています。
 石油化学基礎製品は、中間原料として誘導品工場に運ばれ、また別の物質に作り変えられます。代表例として、エチレンはポリエチレン、プロピレンはポリプロピレンなどのプラスチックになり、さらにそれらを原料として工場で加工され、電気製品や自動車・スマートフォンなどの部品、文房具など身の回りにある製品になるのです。
 ナフサを原料とした製品には、プラスチックのほかに合成繊維(シャツ・セーター・毛布など)、合成ゴム(自動車のタイヤ・ベルト・靴など)、塗料(インクやペンキなど)、合成洗剤(洗剤・シャンプーなど)など、さまざまなものがあります。ある菓子メーカーの袋の印刷がカラーから白黒に変わりましたが、これもナフサ不足の懸念による印刷用インクや溶剤の供給が不安定になったことが原因でした。
 多くのプラスチック製品の原料として欠かせないナフサは、私たちの生活を支えるエッセンシャル(超重要)な資源です。しかしライフサイクルにおいては環境への影響もあります。石油採掘・運搬、ナフサ精製、プラスチックなどの製造過程でもエネルギーが必要となり、二酸化炭素が発生します。また、プラスチックなどの製品類を燃やすと、含まれている炭素と酸素が結合して二酸化炭素となり、大気中の温室効果ガス(GHG)排出量が増えることで地球温暖化が加速します。
 自然界では容易に分解されないプラスチック廃棄物による環境汚染も課題ですが、この解決策として、リサイクルのさらなる促進や革新技術の開発・導入とともに、生物由来の再生可能な有機資源(バイオマス)を原料とするバイオマスプラスチックの導入が進められています。バイオマスプラスチックは通常のプラスチックに比べて実質的な二酸化炭素の排出量を抑えられるため、カーボンニュートラルの実現に貢献し、なおかつ限りある原油の使用量削減にもつながります。

カーボンニュートラル