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花火にいろんな色があるのはなぜ?
真夏の夜空を彩る打ち上げ花火。美しい色とドーンと響く音が暑さを忘れさせてくれる夏の風物詩です。赤、黄、青、緑と、鮮やかな色使いが魅力ですが、なぜいろいろな色が出せるのでしょうか?
日本で打ち上げ花火が始まったのは、江戸時代といわれています。花火大会発祥の地は、両国の隅田川。諸説ありますが八代将軍徳川吉宗の時代の享保18(1733)年5月28日、両国川開きの初日に打ち上げられたのが初めてといわれています。両国川開きは、当時の江戸を襲った大飢饉や疫病により亡くなった人々の供養と災厄除去を祈願して行われたものです。江戸時代の打ち上げ花火の様子は、数々の錦絵や浮世絵に描かれています。
江戸時代の火薬は木炭などを使った黒色火薬しかなかったため、花火の色は炭火色(オレンジ色)の濃淡だけでした。花火の色がカラフルになったのは、明治時代以降です。それは、文明開化とともに外国との貿易が活発になり、花火に色を付けるために必要な化学薬品や金属粉末を輸入できるようになったからです。
花火の色は、金属が燃えるときの「炎色反応」という化学反応を利用しています。火薬の中には炎色反応を示す金属元素を含む化合物が含まれていて、それらが高温で燃えたときにさまざまな炎の色が見られます。
アルカリ金属のリチウム(Li)は赤、同ナトリウム(Na)は黄、同カリウム(K)は赤紫、遷移金属の銅(Cu)は青緑、アルカリ土類金属のカルシウム(Ca)は橙、同ストロンチウム(Sr)は紅、同バリウム(Ba)は黄緑を発色します。

炎色反応が起こる金属の元素は、とても小さな原子が集まってできています。1つの原子の中心に原子核があり、原子核の周りをいくつかの電子が取り巻き、回っています。電子は決まった軌道にありますが、加熱されると外側にある別の軌道に移動します。しかしこの状態は不安定なので、電子は元の安定した原子核の軌道に戻ってしまいます。このとき、吸収していたエネルギーを光として放出します。これが炎色反応で、元素によってそれぞれ固有の炎の色を示します。

一般的な打ち上げ花火は、大きな花火玉の中に2種類の火薬が入っています。1つは上空で花火玉を割るための火薬「割り火薬」、もう1つが炎色反応を起こす「星」と呼ばれる火薬です。割り火薬と星は、花火玉の中で同心円状に並んでいます。たとえば花火玉の中心部から黄色に発色する星、赤に発色する星、青に発色する星の順番で並んでいれば、中心部から黄、赤、青の順に咲く花火に見えます。夜空にハートや笑顔の形が浮かび上がる花火は、意外と単純な仕組みで、花火玉の中に並べられている星が、ハートや笑顔の形に並べられているのです。
1つの花火玉の中に割り火薬とともに、数百個もの星を入れる花火づくりは、火薬を扱うため、摩擦や衝撃などで火の気を起こさないようにほぼ手作業で行われているそうです。美しい花火に仕上げるために、火薬の量の微調整なども必要な細やかな作業です。花火師と呼ばれる職人の長年の経験と努力の結晶といえるでしょう。
