人工甘味料の化学
人工甘味料の化学
暑い日や疲れたときなどに飲みたくなる、ペットボトルや缶入りのジュースや炭酸飲料。これら甘い飲み物には、砂糖や各種の甘味料が使われています。
これらの甘味料は、大きく糖質系と非糖質系に分けられます。糖質系は砂糖やはちみつ、でん粉由来の糖やその他の糖、糖アルコールに分けられ、非糖質系は天然甘味料と人工甘味料に分類されます。
糖質系のでん粉由来の糖やその他の糖にはブドウ糖や水飴、オリゴ糖や乳糖など、糖アルコールにはソルビトールやキシリトールなどがあり、非糖質系の天然甘味料にはステビア、甘草(グリチルリチン)、羅漢果(ラカンカ)など、人工甘味料にはアスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリンなどがあります。
人工甘味料のアスパルテームとアセスルファムカリウムは砂糖の約200倍、スクラロースは約600倍、サッカリンは約500倍の甘みがあります。サッカリンは歴史が古く、日本では1901年から使用されています。一時期発がん性の疑いがもたれて使用禁止となっていましたが、発がん性が否定されて使用できるようになりました。いずれの人工甘味料も少量加えるだけで砂糖と同じ甘みが得られ、カロリーを大幅に抑えながら血糖値を上げずに甘味をつけることができます。
ところで人工甘味料はなぜ強い甘さを感じるのでしょうか?それは、砂糖より舌の甘味受容体と強く結びつき、何度も繰り返し脳に信号を送り続けるためです。ただし砂糖とは甘さの質は異なります。ちなみにアスパルテームとスクラロースは食べた後に甘味を感じて後味が残る、アセスルファムカリウムは食べてすぐに甘味を感じて後味は少ないという特徴があります。
人工甘味料は化学合成でつくられており、アスパルテームはアスパラギン酸とフェニルアラニンを結合、アセスルファムカリウムは塩素安定剤とスルファミン酸と三酸化硫黄から合成、スクラロースは砂糖の分子構造の一部を塩素に置き換えた有機塩素化合物、サッカリンはトルエンなどを原料に合成したものです。
ちなみに人工甘味料とは異なる糖アルコールは自然界にある糖質を化学反応させたり発酵させたりしたもので、ブドウ糖に水素を添加したソルビトール、これを発酵させたエリスリトール、麦芽糖水飴に水素を添加したマルチトール(マルビット)、トウモロコシの芯などから採れるキシロースに水素を添加したキシリトールなどがあります。
人工甘味料には血糖値が上がらない、カロリーが極めて低い、また虫歯の原因菌が酸を作り出せないなど多くのメリットがありますが、一方で甘味依存による味覚の鈍化や食欲の増加、糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高まるなど、健康への悪影響を及ぼす可能性も考えられていますので、恒常的・過剰な摂取は控えたほうがよいでしょう。

