地球が今、まるで熱を出しているかのように、どんどん暑くなっています。これが、世界的な問題となっている『地球温暖化』です。その大きな原因の一つが、石油や石炭などを燃やすときに出る二酸化炭素（CO2）。このCO2をどうにかして減らそうと、世界中でさまざまな取り組みが行われています。その中で、排出されたCO2を捕まえて、大気中に放出されないようにしてしまおうという驚きの技術があるのを知っていますか？

　一方、捕まえたCO2をただ閉じ込めるだけでなく、「資源」として再利用しようという考え方もあります。それが「CCU」です。これは “Carbon dioxide Capture and Utilization” の略で、CO2を回収し（Capture）、有効活用（Utilization）する技術です。ゴミをリサイクルして新しい製品を作るように、CO2を原料にして全く別のものに作り替えることから、「カーボンリサイクル」とも呼ばれています。このCCSとCCUを組み合わせた「CCUS」という考え方もあります。例えば、採れる量が少なくなった古い油田にCO2を送り込むと、その圧力で取り残されていた原油を押し出すことができ、エネルギーを取り出しながらCO2も地中に貯めることができる、一石二鳥の技術です。

　では、CCUでCO2は具体的にどんなものに生まれ変わるのでしょうか。例えば、クリーンなエネルギーとして注目される水素とCO2を化学反応させると、船や飛行機を動かす新しい燃料（e-fuel）や、プラスチックの原料となる「メタノール」などを作り出すことができます。他にも、コンクリートを作る際にCO2を混ぜ込んで固めてしまう技術や、農業用のビニールハウスの中にCO2を送り込み、植物の光合成を活発にさせてトマトなどの収穫量を増やす、といったユニークな活用も進んでいます。 こうしたCCSやCCUの技術は、2050年までに世界が目指している「カーボンニュートラル」の実現に欠かせないものとされています。カーボンニュートラルとは、CO2などの温室効果ガスを出す量と、森林などが吸収したり、こうした技術で取り除いたりする量を同じにして、全体でプラスマイナスゼロの状態にすることです。
　これまで地球温暖化の原因だったCO2を、これからは技術の力で管理し、時には資源として活用していく。そんな新しい時代が、もうすぐそこまで来ているのです。