まめ知識

ネオンの魔法で街がキラキラに

 夜の街でキラキラ輝くネオンサイン。この光は、元素記号Ne、原子番号10、原子量20.2の「ネオン」という貴ガスの光です。貴ガスは、ネオンのほかにヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)があり、周期表の18族に属する元素の総称です。非常に安定した電子配置のため、ほかの元素と反応しにくく、単原子分子として存在しています。化学的に極めて不活性なので、不活性ガスとも呼ばれます。無色無臭で沸点・融点が低く、他の元素に比べて存在量が非常に少ないガスです。ネオンは、貴ガスの安定した性質に加えて、美しい光を放つという特徴があります。

ネオンサイン 02

 ネオンサインとは、「ネオン管を使った広告サイン」のことです。ネオン管とはガス放電管の一種で、真空状態にしたガラス管の中にガスを充填し、そこに電流を流すことで発光する仕組みです。1910年、フランスの科学者ジョルジュ・クロードによって発明されました。クロードは、ネオンガスとアルゴンガスを封入したガラス管の両端を繋いで放電すると、発光することを発見したのです。ネオンガスは赤色に発光し、アルゴンガスは青紫色に発光します。この2色以外の色は、ガラス管自体を塗装することで作り出します。たとえば緑色に着色したガラス管とアルゴンガスを使えば、青緑色になります。ちなみにネオン管という名前は、この管の基本原理が初めて公開されたときに使用されたネオンガスに由来しています。

 ネオンサインが世界で初めて登場したのは、1912年のフランス、パリ。モンマルトル通りの小さな理髪店のものだったといわれています。その後、アメリカを中心に全世界で店舗の照明広告として発展しました。
日本においては、日本サイン協会の公式サイト内の年表によると、「大正15(1926)年に〈日本で初めて国産ネオンが東京の日比谷公園で公開点灯された〉」と記されています。ネオンサインは大正から昭和初期にかけて普及し、バーやカフェなどの飲食店から一般企業の広告媒体にも使われるようになりました。戦争により、ネオンサインの灯りは一時消えましたが、その後の好景気で再び広く使用されました。
 近年はLEDネオンへのシフトが進んでいますが、ネオンの光は誕生から100年以上経った今も夜の街を明るく照らしています。